持続可能な社会に向けて。
ー幸せで、豊かな世界のために。ー
・アパレルは、「世界で2番目の環境汚染の要因」
・「安い賃金と、劣悪な労働環境・環境被害」
-7,500万人の衣料生産者のうち、98%が「生活賃金よりも低い」給与で働き、(最低限生活を維持できる金額)その17%は飢餓に直面している。
・全産業で、世界の子どもの10人に1人が労働。
-インドでは、約40万人以上の児童が働く。
・ファストファッションの問題、大量生産・大量消費
・途上国へ大量に寄付される衣服の課題。
-ファストファッションなど、品質の悪い衣類が多く、その大半が、「破棄」され、現地の人々の職も奪っている。
・商品の類似化、国内の優れた技術が継承されず、技術・工場の空洞化
これら、課題の主な要因は、
「大量生産・大量消費」、「価格競争」によるものと考えています。
私達は、「安いから、流行だから」と飛びつき、自己利益の為に消費する、
「誰かを、地球を、犠牲にした消費」を、このまま続けて良いのでしょうか?
「世界中の皆が、笑顔で、豊かに、幸せに、暮らせる世界」
そんな世界の実現に向け、「私たちにできる事」はなんでしょうか?
「今、私たちに必要なのは、
「使い捨て」文化(ファストファッション含め)からの脱却だと考えています。」
しかし、「便利さ、安さ、気軽さ」になれてしまった私たちが、
今更昔のように、少数の衣類を、修理をしながら長く着続けることはできません。
できればファッションも楽しみたい。
だからこそ、「ファッションシェアリングサービス」が、
これら課題を解決し、「今以上に、ファッションを楽しむ」ために、
必要不可欠なサービスであり、
今後のファッションの楽しみ方の主流にしていきたい!と考えています!
シェアリングサービスを上手に活用する事で、
「物から解放」され、「お財布と環境と人」に優しく、
気持ちよく、「様々なファッション」を、「より気軽に、自由に、楽しめ」、
その中から本当に気に入った、「長く着続けたい衣類」だけ、「厳選して購入」する。
「無理な価格競争」をする必要もなくなる事で、
「全ての人へ適正賃金を渡すこと」も可能となり、
「全ての人が、より笑顔になる社会」の循環の実現に近づけると考えています。
ファッション・人生をより楽しむ為に、DMWを、うまく活用して頂けたら嬉しいです!
又、その為の取り組みを、私たちも今後強化していきます!
要点まとめ
1. 「環境汚染」
・「水」
- 1着平均あたり、浴槽11杯分の水を使用。
・「水質汚染」
-世界の水質汚染の20%をファッション産業が占め、量にすると5兆L
・「温室効果ガス(二酸化炭素など)」
-二酸化炭素排出量は、世界の排出量の10%、温室効果ガスは12億トン。
・「容易に分解されない、マイクロファイバー」
-毎年ペットボトル500億本分が海に流出
・「化学物質」
-8,000種類に及び、その多くは自然分解されない。
・「森林伐採」
-世界で、毎年1億5000万本、衣類品の為、伐採されている。
・「綿」
-1枚の綿のシャツを作るのに、一人分の飲み水の2年半分、ジーンズを作るのに10年分必要。
-世界で使用される殺虫剤の4分の1、農薬の11%を占めるといわれ、綿花農家の多くが吐き気やガンなどに悩まされている。
-「オーガニックコットンに変えるだけで、1/10程度水を削減でき、農薬不使用、温室効果ガスは46%削減できる。
・「レザー」
-アマゾン熱帯雨林破壊の7割の原因
2.ファストファッション
・ファストファッションの半分は、1年以内に捨てられる。
・ほとんどのファストファッションの製造には、「有毒な化学物質、危険な染料、合成繊維」が使用され、海が汚染される。
・価格競争による、労働問題や児童労働問題
3.「安い賃金」と、「劣悪な労働環境・環境被害」
「安い賃金」
・発展途上国の多くのコットン生産者は、生産コストすらまかなえない低価格の厳しい状況を強いられている。
「劣悪な労働環境」
・アフリカでは年齢問わず5人に1人が、3ドルのために1日12時間以上重労働
・長時間労働を強いて、労働者が帰らないよう、外から鍵をかけ、火事により112人が死亡した事故もある。
・2015年には設備投資の不足により、ビルが崩壊し、1000人以上の労働者が亡くなる事故が。
・虫がたかるような不衛生な部屋をあてがわれ、酷寒の真冬にもお湯も暖房もない生活を強いられている女性も。
・発展途上国の多くは雇用主によって労働組合の結成も妨げられている。
「健康被害」
・「化学物質、危険な染料、農薬、殺虫剤」などにより、働く人、周辺で暮らす人々の健康被害も。
4. 児童労働
・今も一部のファッションブランドはコスト削減のため、児童を不法に雇用している下請け会社との取引を闇で行っていると言われている。
・ミャンマーにある下請け工場で雇用される少年少女が受け取れる額は、国が決める最低時給のおよそ半分。
5. 大量生産・大量消費
・90年と比較し、供給量は1.7倍
・毎年39億着生産され、40%の服は一度も着られず、平均33億着破棄される。
・85%はゴミとして焼却されるか、埋立てられている。
・その量日本だけで100万トン、世界で1秒ごとに、ごみ収集車約1台分。
・リユース・リサイクルを通じて再活用される割合は約34%
・生産側も破棄しており、ブランド価値を保つ為、供給された衣料品のうち約4割は破棄されていると推察されている。
6.途上国への大量の寄付による環境・健康被害、産業崩壊
・品質の悪い衣類は、結局大半が、途上国でも不要とされ、例えば、南米チリの「アタカマ砂漠」では、年間6万トンもの売れ残りの衣料品が集まり、その内6割がゴミとなり、不法投棄も多く、巨大な「服の山」ができていて、その量は10万トンに上り、分解されず土壌汚染の原因となったり、火災によって大量の有毒ガスが発生する事態もたびたび起き、健康被害も懸念されている。
・古着は、先進国側でさえも、大量で処理しきれてなく、ゴミ処分場などの施設が不十分な国では、埋立地で大量に投棄され、環境・周辺住民の健康被害など、深刻な問題を起こしている。
・アフリカなど多くの国では、自分で服を生産したり、繊維工場を経営したりすることで自立した生活を送ろうとしている人たちがいるが、国外からタダ同然で入ってくる古着に太刀打ちできず、アフリカでは、地元の衣類製造工場が閉鎖に追いやられ、繊維産業に携わっていた多くの地元民が職を失ってきた。
・ガーナでも、25年間で、繊維・衣料品関連の雇用が80%減少しており、
ザンビアでは1980年代には2万5000人だった労働者が、2002年には1万人を下回っている。
・東アフリカ共同体では、外国からの古着の輸入を禁止しようとしたが、アメリカに反発され断念。
アフリカの人たちの「先進国依存から脱却したい」という思いは頓挫し、
今なお古着の「最終処分場」にさせられたままでいる。
7. 商品の類似化、国内の技術力の低下、工場の空洞化
・同じ商品をタグを付け替える、人気商品を真似する、などにより、類似化が激しくなり、安価な国へ工場・人員を移したことにより、国内の技術が継承されず消えてしまったり、つくれる工場がなかったりしている。
これら課題を解決するには?
1番は、「簡単に買わない、捨てない。」
1. ファッションレンタルサービスや古着・フリマを活用する
2. 長く大切にできる衣服だけを購入し、お直しをしながら、長く愛用する。
古着として、循環しそうな衣類を購入する。
・古着として売れるような衣類を普段から意識して購入することも一つ。
・完全にリサイクルできる衣類は限られている。
特に合成繊維は現時点でのリサイクルはお金がかかり、まだ難しい状況で、できる限り厳選し、使い捨てないことが大切。
3.服がどこで、誰に、どんな風に作られているのか、
服の生産工程や、メーカーの取り組みについて関心を持つ。
4.環境負荷の少ない素材、オーガニックコットン・リサイクル素材の商品を買う
・合成繊維ではなく、綿やウールといった天然繊維でできたオーガニックなもの、レーヨンやリヨセル、竹繊維といった再生繊維も環境負荷の少ない繊維。
・オーガニックコットンとは?
環境汚染や労働者の安全・健康・児童労働に関する規約に即して生産されたコットン。
農薬と化学肥料を使わず、土壌や水質汚染、二酸化炭素が削減される。
土壌には牛糞、堆肥を使い、雑草処理は手作業で行う。
・通常のコットンはTシャツ1枚作るのに2,700ℓの水を必要とするが、オーガニックコットンは243リットルで済む。
農薬にも機械にも頼らないので、温室効果ガスの排出量は通常のコットンに比べて46%削減できる。
・世界保健機関(WHO)によるとコットン畑には大量の毒性の高い農薬が使用され、
毎年約2万人が死亡しており300万人もの人々が健康を害している。
更にその農薬を使用した繊維(コットン)の洋服が衣服工場に届き、そこで働いている人にも大きな健康被害が起こっている。
5. フェアトレード商品を買う
・フェアトレードとは?
人権への配慮がされた商品のこと。
発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入し、立場の弱い発展途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組み。
・フェアトレードでは危険な農薬の使用を禁止。
オーガニック栽培を奨励するため生産者への価格の上乗せも保障される。
この貿易の仕組みにより、西アフリカのマリ共和国では、農薬が原因だったと思われる病がなくなり、人々の健康が改善され、さらに、オーガニック・ コットンからより多くの収入を得られるようになり、村には小学校や備蓄倉庫、識字教室などが作られ、村人たちが自らの力と意思で社会発展を実現させている。
6. エシカルな商品を買う
・エシカルとは?
地球環境と人・社会にやさしい商品、倫理的と言う意味。
・エシカル・ファッション・フォーラム(The Ethical Fashion Forum)」によるエシカルファッションを名乗る基準
1. 衣料品を短いサイクルで大量生産する手法に対抗している
2. 公正な賃金、労働環境、労働者の権利を擁護している
3. 地球環境にやさしいサステイナブル(持続可能)な生活を支持している
4. 有毒な農薬や化学品の使用に対する問題提起をしている
5. エコフレンドリーな布や材料を使用・生産している
6. 水の使用を最低限に抑えている
7. リサイクルを行っており、エネルギーの効率化や無駄をなくす取り組みをしている
8. ファッション界におけるサステイナビリティ(持続可能度)を促進・広める活動をしている
9. 資源を提供している、育成をおこなっている、そして/または問題提起をしている
10. 動物の権利を尊重している
引用:FRONTROW
課題01
産業全体の環境問題
(原材料調達から店頭に届くまで)
要点
・アパレル産業は、世界全体で一年に排出される二酸化炭素のうち10%を排出しているといわれている。
・この数字はEU全体の排出量とほぼ同じで、航空業界と輸送業界の合計の排出量より多い割合。
・温室効果ガスの排出量は、年間12億トン。(これは日本全体が1年に排出する温室効果ガスとほぼ同じ)ファッション業界は8%を占める。(マッカーサー基金「新しい繊維経済:ファッションの未来をリデザインする」(原題:"A New Textiles Economy: Redesigning fashion’s future"))
・原料となる植物の栽培や染色などで大量の水も使われ、世界の排水量の20%を占める。
・衣類の製造過程では、有害化学物質が使用され、その一部は河川に放出されて水質汚染を引き起こし、水質汚染の20%はファッション産業によるもので、その量5兆リットル程。
・合成繊維から染料・加工剤に至るまで、化学物質に依存。
8,000種類にも及び、その多くは自然に分解されることなく、環境中に残留し問題となっている。
・特に、「マイクロファイバー」と呼ばれる長さ5㎜以下の極小の繊維は、ナイロン・アクリル・ポリエステルなどでできている服を洗濯すると抜け落ち、汚水処理工場のろ過システムを通り抜け、毎年50万トン海に流出。
ペットボトルで換算すると、500億本(国連欧州経済委員会(UNECE)のアナリスト、ブリジット・リア・オルトマン(Birgit Lia Altmann))
・マイクロファイバーは容易に分解されず、一度海に流出されると長いあいだ漂流。餌と一緒にマイクロファイバーを食べてしまった魚の体の中に蓄積され、その魚を食べた人間が間接的にマイクロファイバーの被害を受けてしまう状況も考えられる。
・レーヨンやアセテートなど、樹木から作られる繊維はたくさんあり、ファッション産業だけで毎年1億5000万本の樹木が伐採されている。(全産業合わせルト年間1300万ヘクタール以上の森林面積が失われている。これは日本の1/3の面積に相当)
・大量に衣服が生産されている昨今、環境負荷は大きくなっている。
・日本国内アパレル市場を輸入品が占める割合は97.7%
・合成繊維のポリエステルに関するCO2排出量は綿に比べると3倍近い排出量
・綿は大量に水を使い、1枚の綿のシャツを作るのに、2,700リットル(一人分の飲み水2年半分)、
ジーンズを作るには1万リットル(1人分の飲み水10年分)以上の水が必要。(スマホは910リットル、車は6万リットル程。)
・綿は、肥料と農薬も大量に使い、
全世界で使用される殺虫剤の4分の1、全世界で使用される農薬の11%を占めているといわれ、
綿花農家の多くが農薬の影響で吐き気やガンなどの健康被害に悩まされている。
・これらをオーガニックコットンに変えると、1枚の綿のシャツを作るのに、243リットルで済み、農薬にも機械にも頼らないので、温室効果ガスの排出量は46%削減できる。
・ウールやカシミアなどは土壌の劣化や食物連鎖の破壊を引き起こす。
・ポリエステルなどの合成繊維も化石燃料から生産されるため、その採掘によって、やはり土地の劣化や生物の生息地の破壊をもたらす。
・2050年には海洋プラスチックごみの量が海にいる魚の良より多くなる(世界経済フォーラム)
・品質・縫製が悪い衣服ほど洗濯時のマイクロファイバーの抜けが多い(パタゴニアとマッカーサー基金の調査)
・レザーは、アマゾン熱帯雨林破壊の7割の原因
・ビスコース繊維も森林破壊に影響を及ぼしており、痛ましいことに、ビスコース生産のために年間1億5,000万本の木が伐採されている。
・金属の精錬による大気汚染、水質汚染、有毒物質流出。
ファッション業界が環境に与えている影響のうち、13%が金属に関するもの(2016年の環境損益計算書(EP&L))
金属の採掘による最大の悪影響は水質汚染と、それを摂取する人体への影響(ステラマッカートニー)
・グッチ(GUCCI)の親会社、ケリング・グループが船頭を務める、「The Fashion Pact(ファッション協定)」は、200社以上のファッションブランドが参加し、生物多様性の回復に努めることを表明。
2025年までに森林破壊ゼロと持続可能な森林の管理を実現するためのコミットメントも含まれる。
「サスティナブル ファッション」(環境省) (https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)を加工して作成
課題02
大量生産・大量消費
1人あたり(年間平均)の衣服消費・利用状況
*出典:環境省ホームページ (https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)
・平均40%の服は1度も着られないとも言われる。(国連欧州経済委員会(UNECE)のアナリスト、ブリジット・リア・オルトマン(Birgit Lia Altmann))
・主に服は綿花繊維とポリメールから作られるが、近年服の大量生産による綿花の不足が指摘されている。
・ポリメールの原料である石油もまた無限の資源ではない。
・1990 年には 3800 万トンだった綿花の消費量が、2000 年に は 5000 万トン、2012 年には 7500 万トンに。
・ヨーロッパでは年間 1 人当たり平均 20 キログラム、 アメリカでは 35 キログラムの綿花繊維が消費されている(IBN 研究所,2012 年)
課題03
服を手放す手段とその後
要約
・消費量は増える一方、購入後の所有期間は半減。
・衣料品の85%はゴミとして焼却されるか、埋立てられている。
・日本だけで100万トン、アメリカは1,300万トン毎年埋め立てられ、世界で1秒ごとに、ごみ収集車約1台分の衣料品が処分されている。
・手放した服がリユース・リサイクルを通じて再活用される割合は約34%。年々高まってるが、改善の余地あり。
・生産側の破棄の量も多く、ブランド価値を保つ為、供給された衣料品のうち約4割は売れ残り、破棄されていると推察されている。
服の行方
可燃ごみ・不燃ごみとして廃棄する理由
※各割合(%)は家庭から手放した衣類の総量を分母としています。
※リサイクル率14%にはウエス(機械手入れ用の雑巾)など繊維に戻らないものを含み、 またサーマルリサイクルについては除いています。
※リユース率20%には海外輸出される衣服を含みます、また古着の海外輸出は輸出先国の現地産業に影響を与える懸念がある為、国内における更なるリユースの推進が課題です。
*出典:環境省ホームページ (https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)
COLUMN
店舗回収とは?
・様々な企業や団体が店頭にて不要な洋服を回収しリユースやリサイクルを行っています。
・着られるものは寄付を行ったり、着られないものは素材やパーツごとにわけたリサイクル等を行っています。
課題04
大量破棄
作られる服の量・捨てられる服(寄付や中古市場含め)の量が増えるたび、環境は汚染されていく。
1. 消費者の破棄
日本では、毎年約39億着が供給され、作られた衣服とほぼ同じ数の、33億着もの服が捨てられる。(2009年の中小基盤整備機構)
破棄される衣服の増加理由は、ファストファッションの普及により、基本的に素材の品質が低い物が多い為。
「安いから、トレンドだから」と買ったものの、結局着なかったり、すぐに飽きてしまったり、写真撮影の為だけに購入されたり、トレンドが過ぎたりと、大切にされずに捨てられる量も多くなり、正に「消費」される事でゴミが増えている。
2. 生産者の破棄
供給された衣料品のうち約4割は売れ残ると推察され、
多くがブランド価値を保つために廃棄処分している。
その数は新品の衣類だけで、およそ100万トンと言われ、1年間で10万枚にもなると推察される。
・一般的にアパレル業界では、定価で売れると見込んだ数の倍の服を作るといわれている。
理由の一つは、常に店頭に一定数が並んでいないと、店としての体裁が成り立たない事や、
納期に間に合わせるため、半年以上前に売り上げを予測し新商品を発注するも、トレンド予測が確実に当たるわけではなく、100%売り切るのが難しいから。
この考え方が売れ残りを増やす大きな原因になっていて、実際に、6割売れれば大成功と言われている。
・もう一つの要因は、低価格な衣服を求める消費者のニーズに応えたファストファッションの大量生産。
ファストファッションの服は、製造コストを削減できる事から、売れ残りが出るとしても大量に生産している。
安い服の多くは、リサイクルが難しい化学繊維で作られ、全体の1%程度しか再利用されずに廃棄処分されてしまう。
売れ残った洋服は、焼却処分するとCO2が排出されるし、埋め立てる場合は生分解されないプラスチックゴミとして自然環境を汚す。
3. 中古市場での破棄
・品質が悪い事で、中古市場でも売りに出せず破棄されている。
4. 寄付先での破棄
・多くの人が良いことをしていると考える、
寄付だが、実は品質の低い服は途上国でも多くが着られることなく、ゴミとなって彼らの国に投棄され問題になっている。
課題05
ファストファッション
有り余る服の中から好きなものを選び、大量に消費。飽きたら捨て、また安価な服を買う。。。
ファストファッションの半分は、1年以内に捨てられ、
そのために、アパレル業界に限らず言うと、
全世界で10人に一人の子供が、教育を受けることもできず、家族のために働いている。
そして、生活に必要最低限の給与で、苦しみながら洋服を作っている人たちが沢山いる。
物質的にとても豊かな時代。
そろそろ安いから、流行だから、と飛びつき、自分の利益だけ考え消費する社会から脱却し、
「皆が笑顔で豊かな社会」へ向け、一人一人が知識を得、考え、行動する事が大切なのではないか。
*ファストファッションとは、最新の流行を取り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産するファッションブランドやその業態をさす。
常に流行に合わせて商品を変えていかなければならない為、スピードが大事で、
その為に、安いお金で長時間働く人が大量に求められる。
1. 労働・人権問題
・ファストファッションは賃金が低い途上国で生産し、労働コストを削減することで、安価な服の販売を実現している。
・生活に最低賃金での低いお給料、長時間労働、非衛生的、など劣悪な環境で働いていて、最悪の場合、身体的な暴力が起きていることも。
・途上国の人たちは労働環境が劣悪でも職場を選ぶことが出来ないことが、この問題をさらに深刻にしている。
2. 廃棄物・生産と消費の量
・課題4参照
・ファストファッションは革新的な生産および流通モデルを使用しファッションサイクルを劇的に短縮し、時には数か月ではなく数週間でデザイナーから顧客に衣服を届ける。
ファッションシーズンの数は、春/夏と秋/冬の1年に2回から、50〜100シーズンに増加。
3. 有害物質による環境・健康被害
・低価格帯を実現するため、ほとんどのファストファッションの製造には、
「有毒な化学物質、危険な染料、合成繊維」が使用され、工場や家庭からの排水などにより海が汚染される。
・それらの有害物質は、工場で働く人や、周辺で暮らす人々の健康を害することがある。
4.水の大量消費
・ファストファッションは水を多く使用し、1枚のTシャツを作るのに2700リットルもの水を必要とする。
・ファストファッションに使用されている水があれば、1年間で1億1,000万人の渇きを癒やすことができると言われている。
5. コピー問題
・トレンドの服、他ブランドやコレクションで売れそうな服を見つけ、次々とコピーし、コピー元のブランドで販売されるよりも早く売り場に出してしまう。
・デザインができるデザイナーが減っていく。
6. 技術力の低下
・より安い労働、安い素材、安い商品を求める結果、国内の技術者が居なくなり、技術力が低下する。
各社の取り組みと矛盾
H&M
・30年までに100%リサイクル製品またはその他の持続可能な原料を使用(現在26%実現)
・40年までに「クライメット・ポジティブ」をめざす。
クライメット・ポジティブとは、「環境に貢献する取り組み」、たとえばH&Mは、一足あたり112.5リットルの水を浄化できる、藻が原料のソールを使ったサンダルを発売。
・他にも、パイナップルの葉を使った合皮、オレンジの搾りかすを使った繊維など、天然素材の研究開発にも熱心
・綿とポリエステルの混合繊維は、品質を下げず分解して再利用する事が難しいが、2018年、7億円以上の資金を投資して、香港に「コットンとポリエステル混紡布地の再再利用施設」を建設。
しかし、香港だけでも1日に生産される衣類は200トンに及ぶ中、この施設で処理できるのは、1日に3トンのみ。
・AIの活用によるサプライチェーンの見直し、製造を担うバングラデシュの労働者に対し、現地の最低賃金を50%上回る給与の支給、96%の店舗でグリーンエネルギーを使うなど。
・一方で、2016年、スウェーデンのヴェステオース市の焼却所だけでおよそ19トンの衣類を焼却処分。それ以前の2013年から毎年同程度の量の衣類が焼かれていて、未だ改善などの提言はされていない。(スウェーデンの放送局「SVT」の番組『Uppdrag』)
・2018年、未販売の衣類とアクセサリー、計42億ドル分(約4876億円)が倉庫に山のように積まれ無駄になっていると暴かれた(米新聞「ブルームバーグ(BLOOMBERG)」紙と「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」紙)
・他にも、下請け工場に開発や製造面で無理を強いる、労働環境など、まだまだ改善の余地がある
ZARA
・同社は自らを「ファストファッションの対極にいる」としている。
理由として、すべてのブランドが需要に合わせ製造量をコントロールできていること、過度の値引きをしていないこと、サステナブルな取り組みを行っていることなど。
・H&Mと同じく、店舗で再生可能エネルギーを利用、25年までに100%サステナブル素材に変えることを発表。
・ブランドで使用する綿・麻・ポリエステルを全て、より持続可能な材料、オーガニックの材料、リサイクルされた材料のいずれか置き換えると約束
・「サステナブルはすべてに優先される」とし、環境分野における5つの注力領域(気候変動への対応、エネルギー効率の向上、水資源の管理、廃棄物削減と資源効率の向上、化学物質管理)で環境負荷の低減を進め、また、責任ある原材料調達とサステナブルな商品開発を進めている。
・ダウンのリサイクルをスタート。ダウンの原料の1つであるミズドリの羽は入手が難しくなりつつあり、羽毛を採取するためにミズドリの養殖を行うことも近年問題視されている。
課題06
途上国への寄付
問題1.善意の寄付だが、
実は途上国ですら必要なく大量に捨てられ、環境・健康被害が出ている。
古着は、先進国側でさえも、大量で処理しきれてなく、
ゴミ処分場などの施設が不十分な国々で処理することは到底できない。
問題2.寄付により、途上国の衣類品・繊維産業を破壊している。
1.途上国でも捨てられている問題について
・世界で生産される衣服の量は、1000億着を突破。(2014年、2020年の約2倍、国連2019年の報告)
売れ残った服、古着屋に持ち込まれたが売れ残った服、リサイクル回収や寄付に出された衣類も含め、多くは、
パキスタンやインド、マレーシアなどに輸出され、その量は24万トンになる。(2015年)
そこでも買い取り手がない衣服は、さらに別の国に輸出されるが、
ファストファッションなど、低品質で化学繊維から作られた古着が占める割合が増えていることから、
最終的に誰にも買われず、“衣服の墓場”とも言えるような場所(チリ、西アフリカのガーナなど世界各地にある)の
埋立地で、リサイクルされず廃棄処分されている。
もちろん寄付も、例えば難民キャンプなど物資が圧倒的に足りていない地域で、先進国から輸入された古着を手に入れることができれば、一時的には助かる人も多いはずだ。
しかし、例えば、南米チリの北部に広がる「アタカマ砂漠」では
巨大な「服の山」ができていて、その量は10万トンに上るとみられている。
この港は、経済を活性化させて人口の流出を防ごうと、通常30%ほどかかる衣料品の関税が免除されていて、
その結果年間6万トンもの売れ残りの衣料品が集まり、南米各地の業者が取り引きする衣服の再利用ビジネスの拠点へと発展。
しかし、集まった服の6割以上はここでも売れ残ってしまい、
化学繊維が使われる衣料品はそのまま焼却したり、埋め立てることは禁じられているため、
一部の業者が処分の手間を省こうとこの砂漠に違法に捨てていると考えられる。
更に、衣服に化学繊維が使われているので、
分解されず砂に埋もれ、土壌汚染の原因となったり、
火災によって大量の有毒ガスが発生する事態もたびたび起き、健康被害も懸念されている。
・他にも、ケニアやウガンダ、タンザニアなどが構成している「東アフリカ共同体」では、
古着や靴の輸入額は2015年に1億5100万ドル以上(日本円で約170憶円)、
ケニアだけで毎年約10万トン、ガーナでは毎週1500万着の古着が輸入され、
約4割が埋め立て処分されていると考えられている。
2.衣類品・繊維産業の破壊
・アフリカなどの多くの国では、ミシンを使って自分で服を生産したり、繊維工場を経営したりすることで生計を立て、自立した生活を送ろうとしている人たちがいる。
輸入された古着の修繕をしたり、販売したりすることで生計を立てている人もいるため、先進国からの古着が現地に雇用を生んでいる側面もあるが、
そういった人たちがいくら頑張って商品を作ったとしても、国外からタダ同然で入ってくる古着には到底太刀打ちできず、
アフリカでは、地元の衣類製造工場が閉鎖に追いやられ、繊維産業に携わっていた多くの地元民が職を失ってきた。
ガーナでも、25年間で、繊維・衣料品関連の雇用が80%減少しており、
ザンビアでは1980年代には2万5000人だった労働者が、2002年には1万人を下回っているなど深刻だ。
・それらを保護・成長させるために、東アフリカ共同体では、外国からの古着の輸入を禁止することで合意した。
しかし、輸出大国アメリカの古着業界団体は、
「アメリカで廃棄されれば、アメリカ国内の環境が損なわれコストがかさむ上、古着の輸出は貿易収支や雇用を増やすことができる」と、反発。
実際、一つの産業と化している古着の輸出ができなくなれば、アメリカ国内で衣類の仕分けや梱包など、4万人のアメリカ人の雇用が危険にさらされると訴え、
更に、企業や団体にとっては、チャリティ名目での古着回収はイメージアップにも繫がる事から、
結局、超大国アメリカからの圧力を受け東アフリカ共同体は輸入禁止を断念。
アフリカの人たちの「先進国依存から脱却したい」という思いは頓挫し、
今なお古着の「最終処分場」にさせられたままでいる。
COLUM-
ちなみに、途上国に対する食糧援助においても、同じような問題はたびたび起きてきた。
例えば自然災害や紛争が発生すると、国外から大量の食糧援助があり、
もちろん直後は栄養不良や飢餓も深刻な問題となるため、緊急的な食糧援助が必要だが、
無料の食糧援助があまりにも大量、かつ長期的に流入してきてしまうと、その地域における食料価格は下落し、
例えばハイチでは、2010年1月に発生した大地震により、先進国から大量の米が援助として流入したが、
数年が経っても、なお米が届けられ、現地で農業に携わっていた人たちの生産する米が売れなくなってしまい、多くの失業者が出た。
*出展:NHK web特集 「着られなくなった衣服の“末路”とは(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220218/k10013486591000.html)
プレジデントオンライン「世界中の善意がアフリカの産業を殺している」古着リサイクルに秘められた不都合な真実(https://president.jp/articles/-/53225) を参考に作成
課題07
児童労働
世界の子どもの10人に1人(1億5200万人:ILO=2017年)、
アフリカでは5人に1人が、3ドルのために1日12時間以上重労働している。
1. 児童労働の現状
・児童労働=義務教育を妨げる労働や危険労働で、国際条約で禁じられていて、
SDGs(持続可能な開発目標)のターゲット8.7は、
2030年までに強制労働、現代奴隷、人身取引に終止符を打ち、2025年までにあらゆる形態の児童労働を終結させることをうたっている。
・2000年以来9400万人もの児童労働数が減少したが、2004年から2008年までの世界的金融危機の間は減少率が低下、新型コロナの世界的大流行で後戻りしてしまっていて、経済危機下では児童労働を無くそうとする試みも後回しになるとされる。
・児童労働数の減少は児童労働の実態が公になり世界の注目を浴びたお陰だと言われる。
・ラテンアメリカやアフリカの児童労働は減っていない。現在は世界の児童労働の半数が、アフリカ地域。
これらの地域は家事労働を児童に受け継いでいるほど貧困な地域で、政府や企業のキャンペーン等の訴えが効かない為と考えられる。
・それぞれの国の法律で18歳以下の子供の労働や労働時間については規定されているが、多くの場合無視されている。
2.ファッション産業と児童労働
・服飾産業はスキルがなくてもできる仕事がたくさんあり、大人より子供のほうが使い勝手も良く、賃金も安い為、児童労働が多いとされる。
・児童労働の7割はコットン、カカオやエビ、コーヒー豆、タバコなどの農林水産業に集中し、
次いで、サービス業(17.2%)と工場・繊維業(11.9%)
・繊維業者は、手先が器用という理由で女の子を大量に雇用している。
・コットンは、インドや中国、ウズベキスタンなどの発展途上国で世界のシェア80%以上が生産され、
インドなどの17カ国で、児童労働または強制労働が存在すると報告。(2018年、米国労働省)
しかし、農場での綿花の受粉作業や収穫に加え、紡績、染色、刺繍等の
アパレル製造工程における労働実態は複雑で、把握しにくいのが実状。
・児童労働に限らず、ファストファッションの服を作る人々のほとんどは、
長時間労働しているうえに最低賃金分のお金しか支払われず、
その日暮らしのぎりぎりな生活をしているが、ほかの選択肢がほとんどないために、このような劣悪な環境で働くしかない。
3.児童労働の実例
・ミャンマーにある下請け工場で雇用される少年少女が受け取れる額は、
時給18ペンス(13円)。18ペンスは、国が決める最低時給のおよそ半分。
・コットン生産地として有名なインドでは、約40万人以上の児童が働き、
その70〜80%ほどを少女が占めている。1日中働いても、もらえる賃金は100円を下回る75円程度。
・繊維業界が大きく成長しているバングラデシュでは、母娘が共に下請け工場で働く例が多く報告され、この傾向は、家父長制による男性優位の概念も影響している。
・1996年6月アメリカ雑誌”LIFE"に、パキスタン・シアルコートのある子供がNIKEサッカーボールの針仕事をする写真が載せられ、児童労働という問題が初めて注目を集めるようになった。
32枚の革の布を1600回縫うとやっと一つのサッカーボールが出来、一日11時間この作業をしてもらえる賃金は3~4ドル。
NIKEはこれらに対し下請け業者へと責任転嫁をしたが世界的な不買運動が起こり、結局謝罪した。
・最近では世界的な人気ファストファッションブランドH&Mのミャンマーの下請け業者が、
14歳の児童を雇用した事実が”ファッションの奴隷達”という本を通じ告発された。
ある少女は一日3ドルをもらって夜10時までおよそ12時間以上働く、他の少女は11歳から17歳までこの仕事をしたという事例もあった。
国際法律上14歳からは児童ではないが、長時間及び夜間労働は不法であると指摘された。
H&Mは2013年以降下請け業者らが14~17歳の児童友達に長時間労働をさせていたことを認め、今後措置を取るというコメントをした。
しかし今も一部のファッションブランドはコスト削減のため、児童を不法に雇用している下請け会社との取引を闇で行っていると言われている。
・2011年6月、人権団体のInstitute for Global Labour and Human Rightsが、Walmart、Target、Macy’s、Kohl’s、Hanesといった大手スーパーチェーンで販売される服はヨルダンにある悲惨な工場で作られていると発表した。
ヨルダンのその工場では、
日常的に労働者は体罰を受け、法定水準より低い賃金で何時間も働かされているという。
さらに、そこの労働者は、
虫がたかるような不衛生な部屋をあてがわれ、酷寒の真冬にもお湯も暖房もない生活を強いられているという。
Hanesの工場で働くわずか11歳のハリマちゃんによれば、彼女は1日わずか53セントしかもらっていないという。
これらを解決するには、ガイドラインや規約を発効するだけでは不十分。
例えば、児童労働を告発されたWalmartは「我々は道義に適う方法で、責任を持って生産を行っている」とその時には発表した。
確かに、彼らは児童労働を含めた労働問題を改善すべく努力しているかもしれない。
しかし、生産の各段階のバイヤーたちがサプライチェーンをしっかり見ていなければ、企業はずっと告発され続けることになるだろう。
アパレルの生産プロセスは複雑の極みともいえるほど、入りくねっている。その現状がある以上、いくらガイドラインを制定しても、それらが各段階で守られているのかいちいち確認することは至難の業と言える。
4. 児童労働による子供への影響
・身体的・精神的被害
-
殺虫剤や鉛系の染料にさらされたり、化学物質の中毒になる。
-
感染症
-
後遺症が残る怪我
-
農薬による免疫低下
ほとんどのファストファッションの製造には、
「有毒な化学物質、危険な染料、合成繊維」が使用され、工場や家庭からの排水などにより海が汚染され、多くの健康被害がでている。
IIS大学による衣服工場の調査によると、例えば布を切る工程では35%の労働者が骨格筋の不調を訴え、20%の労働者にけいれんや呼吸器障害が見つかっている。
また縫製の工程では55%の労働者が骨格筋の不調、40%が頭痛のような神経の問題を抱えている。
児童労働を行う環境は、安全が確保されている場面が少ない上、家庭が貧困で病院にも行けないケースがとても多いため、体に異常をきたしてしまうことには常に命のリスクが伴っていて、時に命を落としてしまうこともある。
暴力を受けたり、仲間が命を落としてしまったりする場面を目撃することは、幼い心に精神的なダメージを与える。
特に、子ども兵を経験した少年少女は、PTSDなど精神的な後遺症を追ってしまうケースがとても多い。
・教育を受ける機会を失う
学校に行って教育を受ける時間がなく、将来まともな職に就ける可能性が低くなり、負のループから抜け出せない。
・犯罪を犯してしまう
拉致によって強制労働させられる子どもや、賃金支払いを逆手にとって脅される子どもは、自分の意思でなく、大人の命令に従って盗難などの犯罪を犯してしまう場合が多く、逮捕されてしまうことで、彼らの将来への道が閉ざされてしまう。
5.児童労働が存在する理由
・子どもは大人より忠誠心が強く、反抗することも少ないため、使いやすい。
・貧困
両親の稼ぎだけでは家族を養えない、または両親を失くしてしまったために、出稼ぎをする子どもが多い。
両親が無職の場合、家庭の収入は子どもの稼ぎに依存してしまうので、辛くても仕事をやめられない子どもがたくさんいる。
・不十分な教育制度
発展途上国の、特に農村部に見られる。
国や自治体が義務教育を受けるための支援をしていないために、お金がない家の子どもは学校に通うことができない。
働いて学費を稼いで学校に通う子どももいるが、身体的にも精神的にも耐えられずに、やめてしまう子が多い。
同じコミュニティに教育を受けていない子どもが多いと、将来の子どもへ教育を与えることの重要さに気づけず、将来の職業選択肢が限定され貧困に陥り、彼らの子も児童労働をする負の連鎖となる。
・文化的肯定
児童労働が当たり前の地域に住んでいたら、児童労働は普通のこととなる。
子供も家族の一員なのだから、家族を支えるのは当たり前。外部からの指摘がないと児童労働の数は増える。
・経済の地域格差
貧困や児童労働を助長しているのは貧困地域の問題ではなく、現代社会の経済の仕組み。
企業間の熾烈なコスト競争、利益を最大化する為に、発展途上国が利用され、現地の従業員に渡る賃金はごくわずかになってしまう。
つまり、低賃金な地域での児童労働を伴う下請工場が収益を支えてきた。
・政策・企業・民間の関与不足
ひとたび児童労働が発覚すれば、ブランドの不買運動を招き、米国大手アパレル企業では1兆円超の売り上げ減少となった試算もある。
事業継続の面からも人権対応の重要性を認識する企業が増えている。
これを更に後押しするには、児童労働や強制労働のない製品への消費者ニーズを呼び起こす事が必要。
人権への配慮がされている「フェアトレード製品」の日本の市場規模は英国の30分の1程度。
政府・企業・市民社会が一体となって取り組まなければ解決されない。
日本でもNGO(非政府組織)のACEをはじめとする団体がコットン産地での児童労働撤廃に向けた活動をしているが、企業の関与がまだ足りていない。
COLUM-
その他児童労働問題
・マイカ(化粧品のラメの原料)
マイカを採掘するためには、暗くて細長く、不安定な穴に入り込まなければ行けず、インド東部の少女たちは厳しい労働環境で働き続けている。
彼らが1日の労働で得ることができる賃金はたったの50円。
マイカ採掘現場を取材したドキュメンタリーの一部では、児童労働を行う1人の少女が、
「何人も死んでしまう仲間をみた。いつ崩れてしまうか不安で怖いけど、家族のために続けなければいけない。」と答えています。
・ダイヤモンド
高級なダイヤモンドも、児童労働の背景を持ちながら成り立っている。
2008年のアフリカ、シエラレオネでは大規模な児童労働によるダイヤモンド採掘が行われていた。
採掘現場で働く少年少女は、両親が賄えない学費を自ら稼ぐために厳しい労働に徹しています。
陥没や地滑りなど、決して安全とは言えない現場で働かざるを得ない状況がある。
・コバルト
コバルトは最終的にはスマホーや車のバッテリー素材として使われます。
アフリカのコンゴ共和国のコバルト鉱山での児童労働は大きな波紋を呼びました。(2016年の1月、国際人権NGOであるアムネスティー・インターナショナルが発表)
ここでは4万人の児童達が一日1~2ドルを稼ぐために暗い鉱山で一日12時間以上も働いていることが明らかになりました。一年100人近い労働者が命を絶つほどの過酷な鉱山の労働環境に児童達が投入されています。
ここから生産されたコバルトは最終的にはスマホーや車のバッテリー素材として使われます。
アムネスティー・インターナショナルはこのような不法児童労働の最終コンシューマーであるサムソン、LG、アップルなどのIT関連の多国籍こそが、下請けの不法可否を問う前に社会的責任を持つべきであると主張しました。
その後これらの企業達は鉱物採掘過程で引き起こる児童労働問題を関連政府またNGO等と共に解決していく事を公言しました。
・カカオ
甘いチョコレートの原料となるカカオの生産過程も、世界のカカオシェア率の1位と2位を占める、ガーナ共和国とコートジボワールだけでも、
18歳以下の児童労働者は222万人にのぼり、教育を満足に受けていない。
これは、カカオ農家の大半が、小規模な家族経営をしていることから子どもの労働力が必要とされることが要因。
また、カカオから作られたチョコレートによる売上の10%、あるいは5%以下しか農家に渡っていないという現実。
貧困が解決されないことは、児童労働の解決に結びつかない。
・子供兵
世界中で、少なくとも25万人以上いると言われる。
親を無くし、貧困に苦しむ子どもが自ら志願する場合と、拉致され強制的に労働させられる場合がある。
少年だけではなく少女も含まれ、彼らは地雷原を歩かされたり、弾よけとして最前線で歩かされたりしてしまうことも。
もし、生き残ることができても精神的な後遺症や偏見に苦しむ子どもが後を絶たない、残酷な事例。
参考資料を元に編集
Global News View (GNV)
https://globalnewsview.org/archives/5622
BORDERLESS
https://www.borderless-japan.com/all/social-issue/15553/
ETHICAL CHOICE
課題08
労働問題
7,500万人の衣料生産者のうち、
98%が生活賃金(最低限生活を維持できる金額)よりも低い給与で働いている。
理由は、服を安くするには、布地の価格はどこもあまり変わらないため、
縫製工場で働く労働力を安くするしかない為。
労働問題の原因は、ブランドの利益至上主義による賃金の問題と、ファストファッションがブームになり、流行の衣服をスピーディーに生産する事による過酷な長時間労働がある。
いずれも途上国の労働問題は、機械よりも人手が多く必要な産業に共通する。
1. 低賃金
・バングラデシュでは製造業の労働者の最低賃金(生きる為の最低限のお金)は月額12,718円相当(1ドル103.396円で計算)で中国の5分の1、インドの3分の1とアジアでも最低で、コストを抑えたいブランドにとっては格好の国。
・賃金はその国の平均もしくは平均以下がほとんど。
工場のほとんどが出来高制のため、一日何時間もの時間外労働をしないと、その国の平均年収に届かないので、休日出勤や残業が日常化している。
欠勤すればたちまち解雇されてしまうため、どんなに体調が悪くても無理をして働く人が大勢いる。
・途上国では女性の賃金は男性よりも圧倒的に低い場合が多い。
そして途上国の多くの女性たちは、安い賃金でも働いて少しでも家計の助けになりたいこと、他の働き口が男性ほど多くないこと、などから最低賃金かせいぜいそれより少し高いくらいで働くことを受け入れざるを得ない。
・新型コロナウイルスの感染拡大が原因でアパレル商品の需要が縮小し、大手セレクトショップがアジア縫製下請け工場に出した注文を取り消したり、代金を払わないケースが問題となった。
特に大きな影響を受けているのが、バングラデシュやカンボジアといったアジアの貧しい労働者。
バングラデシュ衣料品製造・輸出業者協会(BGMEA)会長のルバナ・ハク氏によると、
31億7000万ドル(約3390億円)相当の注文のキャンセルを受け、227万人の労働者に影響が及び、
仕事を解雇されてしまい、厳しい生活を強いられている。
・国連の専門機関で、労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国際労働機関(International Labour Organization)などが定める指針やイニシアチブに署名しているアパレル企業も多いとはいえ、
縫製産業従事者の労働環境の改善を訴える非政府組織「クリーン・クローズ・キャンペーン(Clean Clothes Campaign以下、CCC)」が19年に発表したリポートによれば、発展途上国の労働者に生活賃金(生活を維持できる金額)以上の賃金を支払っていると証明できるブランドはないという。
・発展途上国の多くのコットン生産者は、生産コストすらまかなえない低価格の厳しい状況を強いられている。
2. 建物の管理のコストカット
労働者の賃金だけでなく、縫製工場の設備管理や安全管理などに使うお金もカットされている。
バングラデシュの工場は、建物の管理をおろそかにしているため、建物のほとんどが非衛生的。
老朽化した工場の崩落事件が数多く起こっている。
2002年にはダッカの工場が崩落し、64人が死亡、70人以上が負傷した。
2010年にも、ダッカの工場が火災により27人の死亡者をだしている。
2015年には縫製工場の入ったビルが崩壊し、1000人以上の労働者が亡くなった。
3. 強制労働
例:
・ある工場では厳しい暑さの中、一日平均11時間、働き通しで、休みは一か月に1、2日だけ。
・休日もなく、朝早くから夜11時まで昼休み以外休みなく働かされている。
・妊婦は出産直前に休暇を願い出ても認められず、深夜残業を強制された。
・9~11時間の就業時間中、お昼休みの一時間以外、水分補給もお手洗いにも行けない。etc..
・ラナプラザの事故の少し前に首都ダッカ郊外のアシュリア地区にあるタズリーン・ファッションズの縫製工場で火事が起こり、112人が死亡、200人以上が負傷した。
この時、実は労働者が帰らないように工場に外から鍵がかけられていたため、労働者は火事から逃げることができなかった。このように無理やり身体の自由を奪い、長時間労働をさせている例もある。
・ウイグル問題
綿花の生産に中国共産党が関与し、少数民族であるウイグル族を過酷な環境で強制労働させているのではないかとの疑念が囁かれ続けている。
4.労働条件改善要求の困難
・労働環境の改善を求めても理不尽な暴力を振るわれる事例がある。
カンボジアでは、裁縫工場労働者のデモ隊が発砲され、死者が出る事件も発生。
要求したのは生きるために必要な最低賃金の引き上げだった。
・又、発展途上国の多くは雇用主によって労働組合の結成も妨げられており、労働組合が未発達で、力が弱いため、いくら低い賃金や劣悪な労働条件であったとしても団結して雇用主に立ち向かうこともできず、ブランドの思い通りである。
5. 健康被害
・低価格帯を実現するため、ほとんどのファストファッションの製造には、
「有毒な化学物質、危険な染料、合成繊維」が使用され、工場や家庭からの排水などにより海が汚染され、工場で働く人や、周辺で生活している多くの人に健康被害が出ている。
・有害な化学物質とは、例えば、「有機フッ素化合物(=PFCs)」。
衣類においては、主に防水、はっ水加工のためのコーティング材として使用され、PFCsの多くは難分解性で、一部のPFCsは生きものの体内に蓄積し生殖機能やホルモンバランスに影響を与えることが指摘されている。
・服を作る各工程で長い間殺虫剤や鉛系の染料にさらされたり、化学物質の中毒になり、体調を崩したり、最悪死に至る例もある。
IIS大学による衣服工場の調査によると、例えば布を切る工程では35%の労働者が骨格筋の不調を訴え、20%の労働者にけいれんや呼吸器障害が見つかっている。また縫製の工程では55%の労働者が骨格筋の不調、40%が頭痛のような神経の問題を抱えている。(GNV–ニュースサイトGlobal News View)
・ほかにも、水生生物への毒性、難分解性、環境ホルモンの性質を持つノニルフェノール類(洗剤として使用される)、
日本でも公害被害の原因物質として知られている水銀・鉛・カドミウムなどの重金属(染料や着色剤など)など、衣類の製造過程で使用される有害化学物質は多岐に及ぶ。
EUなど先進国では禁止されている物質が、規制の及んでいない途上国で使用される例も多く存在する。
・これらは、収穫後も綿花の加工や、染色の際に使われる科学物質が川や海を汚染し、地域の人々の飲み水を奪っていて、淡水の汚染の20%は織物加工と染色によるという調査もある。
・その他、課題01.に記載した、マイクロファイバーや、コットン生産に使われる殺虫剤や農薬の多さも、多くの健康被害を出している。
・世界保健機関(WHO)によるとコットン畑には大量の毒性の高い農薬が使用され、毎年約2万人が死亡し300万人健康を害している。
更にその農薬を使用した繊維(コットン)の洋服が衣服工場に届き、そこで働いている人にも大きな健康被害が起こっている。
6. 職を選べない
低賃金労働者が豊富にいる国では、供給が需要を上回っており、劣悪な労働条件であっても、それらの条件を受け入れなければならない。
7.日本のアパレル業界の労働問題
日本の一般企業の平均休暇取得率が120日の半面、ファッション業界では90日前後で、残業も多い。
長時間労働が発生している原因は、慢性的な人手不足。
アパレル業界は消費者商売という特性を持つので、土日祝日や年末年始、大型連休等の繁忙期は勤務する必要性がある。
賃金も低く、一般企業の平均年収が436万円に対し、ファッション業界は341万円。
その上、店頭で着るための服を多少割引があるとは言え、週5回勤務や、シーズン毎に発売される新商品を制服として自腹で購入しなければならず、最終的に手元に残る金額は少なくなってしまう。
課題09
デザインの類似化・技術の空洞化
1.大量生産されたODM商品に、自社タグを付けて販売
2.今人気な商品や、ハイブランドのコレクションから人気が出そうな商品のデザインを真似し、先に販売する
これらにより、「どこのブランドも同じような服が置いてある」状況になった他、
良いデザインを一から創る事のできるデザイナーが育たない。
また、安価な国へと次々と工場や人員を移動した事で、日本の技術が継承されず、空洞化が起きている。
COLUM
死者1000人以上、「ラナ・プラザの悲劇」
2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊で複数の縫製工場が入った複合ビルが崩落し、
死者1000人以上、負傷者2500人以上を出す大惨事が起きた。
取材や調査の中で、実は事故前日にビルに亀裂が見つかっており、地元警察からビルのオーナーへビルの使用をやめるように警告がされていたが、ビルのオーナーはそれを無視して工場などの営業を行い事件が起こったという背景が明らかになった。
またこの建物はそもそも商業用に建設されていたものであり、工場を想定していない設計になっていたり、ビルの5階から8階までは違法に建て増しされたものであったりということも明らかになった。
このラナプラザの事件によって世界的に有名な企業らが劣悪な労働環境や安価な労働力によって収益をあげているというような労働問題が浮き彫りになり、大きく報道されたため一時はファッション業界の労働問題に注目が集まった。
しかし、企業が下請工場に委託し、そこもさらに下請に委託していたため、ほとんどの企業は、実態を把握することさえできず、また責任回避に走る企業も多く、十分な賠償や補償がされず、後遺症と生活苦に悩まされている女性がたくさんいる。
ビルの名称から「ラナ・プラザ(RANA PLAZA)の悲劇」と呼ばれるこの事故は国際的にも注目を集め、
15年にはアパレル業界のサプライチェーンにおける労働環境および人権問題を追ったドキュメンタリー映画「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~(原題:The True Cost)」が公開された。
「ラナ・プラザの悲劇」から8年経ち、短編ドキュメンタリーシリーズ「ファッションスケープス:ア・リビング・ウェージ(原題:Fashionscapes: A Living Wage)」がユーチューブ(YouTube)などで公開された。
「ザ・トゥルー・コスト」を手掛けたアンドリュー・モーガン(Andrew Morgan)監督と、環境や人権問題に関するコンサルティング会社エコ・エイジ(ECO-AGE)のリヴィア・ファース(Livia Firth)共同創立者兼クリエイティブ・ディレクターが再びタッグを組んだ今作は、
最低賃金以下で働かざるを得ない発展途上国の女性たちと、コロナ禍でさらに悪化した労働環境や搾取システムを改善しようと尽力する人権活動家らにフォーカスしている。
事業における人権侵害の根絶に取り組む非営利団体ビジネスと人権リソースセンター(Business & Human Rights Resource Centre)のタルシ・ナラヤナサミー(Thulsi Narayanasamy)=シニア・レイバー・リサーチャーは、
「労働者が貧困状態にあるのは偶然ではなく、そうなるように制度が作られているからだ。生活できないほどの低賃金で働かざるを得ない女性は6000万から8000万人いる。
こうした労働者らはコロナ禍以前から極貧状態にあり、その17%は飢餓に直面している。新型コロナウイルスよりも飢餓を恐れる労働者のほうが多いぐらいだ」と作中で話している。
「ラナ・プラザの悲劇」から1カ月後の13年5月、
安全監視機関として「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(アコード)」が設置され、
「H&M」や、「ザラ(ZARA)」の親会社であるインディテックス(INDITEX)など欧州を中心とする200社以上のアパレル企業が署名した。「ユニクロ(UNIQLO)」などを擁するファーストリテイリングも13年8月に署名している。
アコードには法的拘束力があり、参加企業はバングラデシュにある縫製工場などの安全検査を実施し、問題があると判明した場合にはその改修費用を負担する仕組みとなっている。
しかし5年間の期限付きだったため、活動停止を命じる判決をバングラデシュの下級裁判所が出していたが、その後も縫製工場などで火災が頻発している状況に危機感を覚えたアコード側が19年5月に上訴し、281日間の活動継続および後継組織への活動引き継ぎが承認された。
その継続されたアコードの期限が21年5月31日までであるため、人権活動家や非政府組織は、これをアパレル企業への強制力を持った形で再継続させるべく奔走している。